やすらかな寝顔≠まるで寝てるような寝顔
高校時代の友人たちが集まった。
数年前まで正月2日に毎年スキー場へ遊びに行ってたメンツだ。
ふと思うとそれ以来ご無沙汰してたな…。
普通に声かけりゃ集まったメンツだろうけど、こんな形で顔を合わせるとは。
皮肉ともいえる何かなんだろうか?
一人減らなけりゃ顔を合わせない仲…なんてことにはならないよな…?
少し訳合って途中まで電車で向かう。
友人が迎えに来てくれた。
そして…何年振りかに見るやつの親御さん。
ちょっと前にぶらりと家の前通り過ぎたときに背伸びしてたな。
「自分の家の前で背伸びしてもおかしくはないだろ?」
っと笑って話したもんだ。
いつもならやつの車が出れるように自分の車を止めて出かける時にはこたつの上に自分の車のカギを置いてくる。常套手段。
実家のように上がり込んだ家だけど、今日は別。
初めて入った仏間。寝てるやつ。
やすらかな寝顔だったけど、いつもの寝顔ではないのがわかる。
声、かけられないもんだな。
いつもの寝顔だったら我が物顔でこたつに潜り込んで漫画でも読み始められるのにな。
何で俺より先に逝っちまったんだ?
それもよりによって心筋梗塞とか…。
友人の一人は年越し直前に電話しようかと思ったという。
それしなかったからと。
黙って制止する。それは違う。
声に出せなかったけどもしそれすべきだとしたら俺の役目だっただろう…。
少なくても俺は同じ症状の経験者だ。珍しく半年以上連絡する間隔も明けちまってた。
一本の電話くらい入れるべきだったよな…。
病院に心臓が動いてるうちにたどり着けさえすれば助かったのに…。
何よりも職を離れて久しい自分が情けない。
何もできずにいた。終わってるな。
もう、やつと温泉に行けない。
ゴルフに行けない。
やることのない膨大な暇な時間をつぶしにグダグダと街中をさまようこともできない。
やつと大吉にマーボーナス食いにいけない。
おれはせっかく生き長らえてもこれはないよな…。
80とかなら仕方ないと思えるだろうが、まだ40代前半だ。
今日ほどやつに会いたくないと思った日はないけれど、
今日じゃなければもう二度と会えないのだから。。。
何はともあれ、安らかに眠ってほしい。
あとは俺がそっちに逝ったときにじっくりと言い訳を聞いてやるとするかな。
少し…疲れた。。。
さすがに眠れなかっただけに帰ってきてうとうととしちゃったわ。
新しい一歩を踏み出すつもりが踏み出す位置が難しいな。
いままで、こんななんとも落ち込んでるときにどこからともなく現れちゃおせっかい焼いてくれたやつは…これからもう現れないんだもんな…。
ずっとずっと文句言いながらも専学卒業し、一つの職場を務めあげてた。
ただただまじめに働いて出会いに恵まれなかったけれどまだもう一回二回チャンスがあっただろう。
なのに…どうして逝かなけりゃいけないんだ?
あの世に若いのが足りないのなら俺でよかっただろ?
人選まで狂ってやがる。
ま、しばらくは勝手に付き合わせてやる。
どうせ暇だろ?
親以上に見てきた顔だ。誰より長く付き合ってた腐れ縁だ。
忘れはしない。
そして、ゆっくり眠れ。
そのうちたたき起こしに逝ってやるさ。
そう遠くない未来なのか…案外遠いのか…さてさてな。。。
それじゃ、また…な。